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WDS小委員会
地球惑星科学委員会・国際対応分科会・WDC小委員会(第21期・第3回)記録

地球惑星科学委員会・国際対応分科会・WDC小委員会(第21期・第3回)記録

文責
渡邉 堯
日時
2011年2月1日13時50分―15時
会場
情報通信研究機構小金井本部本館4階国際会議室
出席者
阿部文雄、荒木 徹、家森俊彦、石井 守、荻野瀧樹、門倉 昭、金尾政紀、篠原 育、柴崎清登、能勢正人、村田健史、渡邉 堯(議長) (*)
*:本委員会は、名古屋大学太陽地球環境研究所・研究集会「WDS国内シンポジウム(第1回)」のセッションの一環として拡大委員会の形で開催され、日本学術会議情報学委員会・国際サイエンスデータ分科会より、土居範久、岩田修一、長島 昭、芦野俊宏各委員の参加があった他、シンポジウム出席者(全体で35名)の同席があった。

報告事項1:WDS-IPOの設置

2010年8-9月に、WDSの実務を担当するWDS International Programme Office (WDS-IPO) を設置する機関の国際公募がICSUによって行われ、同年10月末に開催されたICSUのExecutive Boad において情報通信研究機構(NICT)に設置されることが決定した。これを受けて同年12月8-9日にICSUによる現地訪問が行われ、ICSUとNICTとの間で取り交わす覚え書きに関する実務的な詰めが行われた。引き続きExecutive Director の国際公募が行われ、2011年度のなるべく早い時期に業務が開始される見込み。WDS-IPOの基本的な業務はWDS-SCとの緊密な関係をもとに、WDSの活動方針の策定やWDSが進める事業の推進、他のデータ組織や学術連合に対する窓口の役割を果たすことであるが、NICTが行っているサイエンス・クラウドなどのデータ関連事業とWDSとの連携を通じて、WDCの時代には不十分であった、オンラインによる分野横断型データ利用への対応や、データベースの品質や有用性の評価、論文におけるデータ・サイテ―ションの制度化などを含むData Publicationシステムの構築、政策や情報格差によるデータ障壁の低減、重要なデータ供給源の確保などが進むことが期待される。

報告事項2:WDS加入手続きの開始

2011年1月20日に開催されたWDS-SC電話会議において、WDSに加入を希望するデータセンターとICSUとの間で取り交わされる覚書の様式の大筋が承認された。申請・審査のプロセスは以下に示す。

  • 加入を希望する機関による自主登録(http://icsu-wds.org/から)
  • ICSUから送られてくる確認事項に回答
  • 必要に応じて現地査察が行われる(大部分はネットによるチェック)
  • WDS-SCによる審査
  • ICSUと申請機関との間で覚書を交換
  • 3-5年ごとに活動状況の評価を受けて更新

WDS加入の申請に先立って、(1)に示した自主登録が不可欠。加入申請における重要な確認事項は、WDSの理念(例:ICSUが行う事業への協力、品質管理されたデータのFull and Open Access、長期的なデータ管理、データ提供は無償又は必要最低限のコスト)の容認、ホスト機関によるサポート、2年に1回CODATA総会に連動して開催されるWDS全体会議に出席すること(これは努力目標?)等。覚書のテンプレートと関連資料(添付)は、2月中にWDSホームページ(上記)に掲載予定。WDS-SCによる審査を経て加入が認められれば、ICSUとの間で覚書が交わされる。第一回のメンバー決定は、2011年3月中旬に開催されるWDS-SCの会合で行われる見込み。

報告事項3:「第一回ICSU世界データシステム会議‐世界のデータが切り開くグローバルな科学」への取り組み

会議名称
The 1st ICSU World Data System Conference – Global Data for Global Science
期間
2011年9月3日(土)‐6日(火)
会場
京都大学百周年時計台記念館
HP
http://wdc2.kugi.kyoto-u.ac.jp/wds2011/
議題1:日本学術会議におけるデータ関連委員会組織の再検討

現時点においてWDSへの対応は、学術会議地球惑星科学委員会・国際対応分科会の下にある、WDC小委員会(委員長:渡邉)が行っているが、これは日本に設置されているWDCが全て地球科学系分野であることによる。しかしWDSは人文・社会系科学を含む広い分野におけるデータ活動を目指しているため、地球惑星科学委員会のもとでWDSに対応することには限界がある。またICSUの方針として、WDSはCODATAと協調して活動することが求められており、WDC関係者としても情報科学系分野との連携を強化する必要がある。また、このように情報科学関係者との連携を強化することは、我が国におけるデータ活動の活性化に繋がるとともに、2011年よりNICTに設置されるWDS-IPOの国内支援体制を強化するためにも、重要なステップとなる。

提案1:

WDS小委員会を、情報学委員会・国際サイエンスデータ分科会(又は別名)の下に、CODATA小委員会と並列して設置する。また、WDS小委員会代表者数名が国際サイエンスデータ分科会委員に委員として参加する。

提案2:

現在地球惑星科学委員会に設置されているWDC小委員会については、以下の選択肢がある。

  1. WDC小委員会は次期においては継続しないが、地球惑星科学委員会との連携を維持するため、情報学委員会WDS小委員会の代表者を地球惑星科学委員会国際対応分科会に、委員として参加する。
  2. 現在日本に設置されているWDC(7ヶ所)は全て超高層物理学分野に属しており、国際共同研究事業などにおいて地球惑星科学委員会と密接な関係がある。WDSにおいてもWDCの存在意義は失われないため、当面WDC小委員会は存続させるか、地球惑星科学委員会の下に地球惑星関連データに関する分科会又は小委員会に移行する方向で検討。

以上の各提案について討議の結果、提案1については本小委員会として承認し、今後の学術会議幹事会への提案などの手続きについては、情報科学会国際サイエンスデータ分科会の土居範久委員に一任することとなった。また提案2については、今後更に検討を進めることとした。

議題2:WDS国内推進委員会(仮称)の設置

2011年度より情報通信研究機構(NICT)に設置されるWDS-IPOの活動を支援するため、NICTの主導のもとにWDS国内推進委員会(仮称)を新設する提案があり、基本的な構想は了承された。なお議題1において日本学術会議情報学委員会国際サイエンスデータ分科会に設置する方向(提案1)が承認されたWDS小委員会との役割分担については、今後調整を進めることとなった。